2013/10/09

就活人気企業ランキングにみる「内省」の時間の必要性


ちょっと古いですがこんなデータが出てました。

発表!2013版人気企業ランキング

今回はこれをフックに、今の教育現場に必要なものを考えてみます。

まずデータを見てみると、文系男子の人気企業上位10社は次の通り。

1. 三菱商事
2. 住友商事
3. 三菱東京UFJ銀行
4. 伊藤忠商事
5. 東京海上日動火災保険
6. 丸紅
7. みずほフィナンシャルグループ
8. 三井住友銀行
9. 三菱UFJ信託銀行
10. 三井物産

うーん、なんというか見事にブランドで選んでるって感じですよね。とりあえずここに入っとけば安心だろ的な。理系とか女子とか他のデータも大体似たような感じ。

ここから僕が感じることは、日本の学生の多くは自分の意思で進路を決めることができていないってことです。自分で決めることが出来ないから、いわゆる世間一般でのイメージ(=ブランド)を頼りに入りたい会社を選ぶことしかできない。

かく言う僕自身もかつてはまさにそう。思いっきりブランド重視で就職活動してました。ていうか当時はそれしかやり方が思いつかなかったです。

ではなぜ、学生はいざ就活にあたって自分の意思で決められないのか。それは決めるための情報が揃ってないからです。

以前に「決める」ために必要なこと。というエントリーで、決めるのには内と外、両方についての情報が必要ということを書きました。

内というのは、自分の内面に関する情報。自分がどういう人間で、何がしたいのか。

外というのは、自分以外の情報。そもそも世の中に何があって、それがどのような状態で存在しているのか。

この内と外の両方の情報が揃って初めて何かを決めることができます。

逆に言えば決められないということは、どちらかの情報が欠けてる可能性が高いです。(決断力が無いという理由も考えられますが。)

さて日本の大学生。彼らに欠けているとすればどちらの情報か、僕は圧倒的に内側の情報だと思います。つまり自分がどういう人間であるか全くわかってない。

もちろん就活にあたって自己分析する人も多いと思いますが、そんな付け焼き刃の分析で把握できるほど自分という人間は軽くないです。

それなりにソースが出回っている外の情報と違って、内側の情報は自分の中にしかありません。しかも重要な部分になるほど、心の深い部分にしまわれている。それゆえに自分自身の本質は、色々な経験を元に、長い時間をかけてじっくりと自分と向き合い続けて初めて見えるものなのです。

自分と向き合うことに時間を割かず、結果自分の内面に関する情報をほとんど持たないままに、いざ就職にあたって自分の行く先を決めようとしても、決められないのは当然です。

じゃあどうすれば良いか。

これはもう自分と向き合う時間を積極的に設けていくしかないので、僕は教育の過程の中に「内省」の時間を設けるのが良いと思っています。最近経験したこと、入手した情報を題材にとにかくひたすら自分と向き合う時間。この時間を通じて自分の内側に関する情報を構築していくことが、自分自身で意思決定できる人間の育成に欠かせないことだと思います。

現状だと「道徳」とか「進路指導」あたりが一部その役目を担ってるのかもしれませんが、質・量的に不十分です。多少他の科目の時間を削ってでも導入するだけの価値が「内省」にはあると思っていますし、その必要性はこの人気企業ランキングが示しています。

といっても公教育の制度はすぐには変わらないので、現実的なのは家庭の中でしっかりとそうした時間を持つことですね。その方が落ち着いてできるかも、ですし。

という訳で、主体性の無い人気企業ランキングにみる「内省」の時間の必要性でした。

日記をつけている生徒とそうでない生徒の自己決定能力の違いに関するデータがあったら見てみたいところ。そんな都合の良いデータは無いか(笑)

では。