2013/06/14

将来の夢というインポッシブルな作文

あれは小学校3年1学期のこと。僕はそれまでの小学校生活最大の困難に直面していた。

その日の国語の作文で出されたお題が「将来の夢」。

・・・ない。思い当たるものが一切無い。それゆえ筆が一切進まない。

周りを見回すと皆順調に鉛筆を滑らせている。なぜだ、なぜみんなそんなに書けるのだ。

そもそも決めるには内と外両方についての情報が必要。つまり自分が何を望む人間かという内なる情報と、世の中にどのような職業があるのかという外なる情報がそろって初めて決められる。その情報が両方とも揃っていない自分に、将来の夢など書けるべくもない。

と、しばし呆然としていたものの、そこは良い子の僕。なんとか時間内に仕上げるために禁断の技を使う。捏造。

先生がそれなりに納得しそうな将来の夢を捏造し、なんとかこの場を乗り切ることを決意。しばしの逡巡の後、捏造した夢は「宇宙飛行士」。理由は「無重力状態を体験したいから」。うん、良い感じに投げやり。

そんな感じでその場は乗り切ったのですが、この時に限らず小さい頃から将来の夢に関する回答には常に悩まされ続けてました。

記憶にある限りで思い返しておくと

幼稚園年長・・タクシーの運転手。(これも捏造の回答。ひとりずつ順番に将来なりたい職業を言っていくという活動の中で、なぜか「前に出た職業とカブってはいけない」という空気が流れ、前の人とカブらない職業をひねり出した結果。かなり後半の方の回答だったので苦しかった覚えがある。)
小2・・えらい人。(学年末文集内での回答。抽象的な表現で逃げる小賢しさがGood。)
小3・・上述の通り宇宙飛行士。
小5・・誘拐されてみたい。そして見事脱出してみたい。(母親に将来の夢を聞かれた時の回答。こんな回答を聞いた母親の気持ちはいかばかりか。そして脱出できると思ってる根拠のない自信家ぶりは今に通じるものがある。)
小6・・コンピュータープログラマー。(卒業文集にて。今思えば志低い目標だw)

こんな感じ。毎回本当に苦労してしのいでました。

その後もずっと何かにこだわるではなく、ふらふらとやってきたわけですが、今はと言えば先日まとめた空間的、時間的に制約のない暮らしってのが夢というか目標ですかね。ここにいきつくまで何年かかってるんだか。

今回は昔語りでした。

では。


【2021/05/17 追記】
ホントに軽々しく子どもに将来の夢を書かせるのはやめた方がよいと思う。その時点で知りうる数少ない職業の中から「夢」とやらを無理やり選ばせて、うっかりそれを自分の将来の姿と信じ込んでしまったら、まだ見ぬ職業への選択肢を奪ってしまいかねない。

もうちょっと思慮と配慮のある課題選択をしていただきたかったものだ。