今回は「ストレス解消」について。
ストレスが溜まったときにカラオケ行ったり、バッティングセンター行ったりするのがいわゆる「ストレス解消」ですが、これ、ほとんど意味ないと思ってます。
なぜならストレスの正体は記憶であって、歌ったり打ったりしてもその記憶がなくなるわけではないからです。
嫌な出来事が現在進行形で発生している場合を除けば、ストレスは過去にあった嫌な出来事の記憶によって発生しています。通常、人の記憶はエビングハウスの忘却曲線にしたがって時間の経過とともに薄れていきます。
ストレスの原因となっている記憶も例外ではなく、時間が経つほどに忘れられていきます。言い換えるなら、記憶を無くすには(特殊な薬物を除けば)時間を経過させるしかなく、歌ったり打ったりでは記憶は「解消」されません。
前回のエントリーでストレスを固定ストレスと変動ストレスに分類しました。固定ストレスは日々の生活の中で恒常的に発生するストレス、変動ストレスは突発的な事象により発生するストレスです。
固定ストレスがやっかいなのは、いやな出来事を忘れる前に再発してしまい、その記憶が日々強化されるからです。英単語なら忘れる前に復習して記憶を強化するべきですが、嫌な出来事を復習しても生まれるのは強いストレスだけです。
固定ストレスに対しての「ストレス解消」はほぼ無意味です。いっときストレスの原因から気をそらすことができたとしても、すぐまた発生し記憶が強化されるのですから状況はなにも変わりません。
変動ストレスに対しては少しは効果あります。変動ストレスの原因は常習性がないので、ほっといてもそのうち記憶は薄れていきますが、発生直後の記憶が鮮明でストレスを強く感じる時間帯を歌ったり打ったりでスキップできれば、ストレス総量を減らすことはできるでしょう。
確実に効果がある唯一のストレス解消方法はストレスの原因を取り除く方法を考えることです。ひとたびストレスが発生してしまえば忘却に身を任せるしかないのですから、そもそも発生させないのが最善。そのために可能な限りの情報を集め、取りうる選択肢を洗い出し、行動しその効果を検証する。この繰り返しで少しずつでもストレスの原因を減らしていくことこそ、ただ一つのストレス解消方法です。
前回エントリーで「人が持つのはストレス耐性ではなくストレス許容量」と書きましたが、もしストレスの原因となる出来事を片っ端から忘れられる人がいたら、その人は「ストレス耐性がある」と評して良いかもしれません。忘れてばっかりでトラブルも多そうですが。
では。