2021/12/19

EV化をすすめるのは脱炭素ではなく自動運転

昨今話題の電気自動車(EV)。トヨタが2030年までに年間で350万台の販売を目指すと発表した2021年12月現在での僕なりの予想をまとめておきます。答え合わせは10年後にのパターン。

結論からいえばEV化は脱炭素ではなく自動運転によって広まっていくと考えています。なぜなら脱炭素では人の生活は変わらないけど、自動運転では劇的に変わるから。人はキレイごとではなく実利で動くものなのです。


現状では欧米(特にヨーロッパ)を中心に脱炭素を掲げてのEV化が叫ばれていますが、これは程なく行き詰まると思います。それはひとえにエネルギーの問題が解消されないから。再生可能エネルギーへの移行が十分に進んでいない中、脱炭素を掲げて化石燃料の使用を減らせば電気料金が上がるのは火を見るより明らか。さらにEV用の電力供給網の整備もこれからです。

おまけにバッテリーも車両本体も高価ときているのですから、これで各国政府がいうとおりに順当にEV主流になると考えるのはあまりにお気楽すぎます。エネルギー問題が解消されない限りは、脱炭素名目でEV化が進むことはないと思います。


ではEV化がまったく進まないかというとそうではなく、脱炭素ではない別の理由でEV化は進んでいくと思います。自動運転(完全自動運転)です。

クルマの動力がガソリンだろうと電気だろうと、自分で運転しないといけない限り人の生活はほとんど変わりません。ところが自動運転になると生活は一変します。なにせクルマでの移動時間を完全に他の活動に充てることができるようになるのですから、移動のハードルは劇的に下がります。これは都会でも田舎でも劇的に生活を変化させます。

さらに自動運転の実現によりクルマの所有に対する考えも一変します。クルマを呼べば勝手にやってくるのですから自分専用に持つ必要はありません。クルマを使いたいときにアプリで呼ぶスタイルが主流になるでしょう。この時点でEV車本体価格の問題はクリア。またクルマが勝手に充電に行ってくれるのですから電力供給網の問題も同時にクリアです。

最後に残るのが電力価格の問題ですが、クルマ本体を買わずに済むことを考慮すればユーザー側でもある程度は許容できると思います。もちろん安いにこしたことはないので、電力が安価であるほど自動運転の恩恵を受けられる社会になります。この点では再生可能エネルギーに適した地形のある地域や、次世代型を含めた原発の使用に踏み切れる国ほど有利ですね。


以上の予測を日本に当てはめると状況は極めて厳しい。自動運転技術の開発自体はがんばってるものの、タクシー業界の強い反対によりライドシェアは未解禁。再生可能エネルギーを主力にする道は程遠く、原子力積極活用の道もいばらの道です。普通に考えて日本に自動運転社会が到来するのは、他の先進国に遅れること10年くらい経ってからでしょう。


というわけで、

・脱炭素名目ではEV化は進まない
・自動運転の普及とともにEVが主流になる
・日本は自動運転社会でも順当に敗戦

という未来予想でした。