2012/09/20

【組織論 後編】目標を点で持つか面で持つか。

人の話組織の話と進めてきた僕独自の人・組織論。最終回の今回は組織の目標の持ち方について考えてみます。

結論から言ってしまえば、(前回の最後で言及した)出来る限りレゴ型組織の要素を強くし、所属する人が自分の特徴を活かしてイキイキと働くためには、組織の目標は点では無く面で持つのが良いのではないかと思っています。

言い換えると組織の目標はある程度抽象的で自由度があった方が良いということです。

目標を点で持つというのは例えば「●●の業界で、売上◯◯円を達成し業界トップになります。利益も△△円出します!」といったように非常に具体的に目標を決めるやり方。

一方で目標を面で持つというのは上記の例から条件を一つだけに絞って例えば「利益を△△円出します。」という目標だけにするものです。

※数学的に空間上で条件が3つ(X軸、Y軸、Z軸)揃うと1点が特定され、条件が1つだけだと面になるのでこのように表現しました。
※条件を一つだけに絞ることはその組織が何を最も大切にするのかを浮き彫りにする効果もあると思います。

目標を点で持った場合は達成された時の状態がほぼ一意に特定されているのに対し、目標を面で持った場合は目標が達成された状態を複数パターンで描くことができます。

さて、察しの良い方はそろそろお気づきかもしれません。

目標を点で持つのと相性が良いのは前回説明したジグソーパズル型組織、目標を面で持つのと相性が良いのはレゴ型組織です。

僕は人が幸せに活動するには極力レゴ型組織の要素が強い方が良いと考えています。ただし前回言及した通りレゴ型組織には組織の全体像が変わりやすいという特性があります。もし目標を点で持っていると、目標に対して組織がそぐわない状態となってしまうことも考えられますが、目標を面で持っておけばその時の組織の状態に合わせて目標が達成された状態をイメージすることができます。

更に言えば目標を点で持っていると何かの外的な要因によってそもそもその目標が達成不可能となることも考えられます。例えば対象としていた業界が突然何らかの理由で大幅に縮小してしまったとか。そうなると組織としては行き詰ってしまいます。新しく点の目標を設定し直して、組織もまた作り直しです。

一方で目標を面で持っておけば、何か想定外の事象が発生したとしてもその事象を考慮した上での新たな達成イメージを持つことができます。

そういった外的な要因に対しての柔軟性という点でも目標を面で持つというのは有効です。

僕が「目標を面で持ってるなー。」と感じている例をひとつ挙げておきます。

サイバーエージェント(CA)という会社です。アメブロなんかで有名な会社ですね。この会社は本当に様々な特徴を持っている会社なのですが、僕が興味深く思っているのがこの会社が掲げている「21世紀を代表する会社を創る」という目標です。

ちょっと前までは正直「なんて曖昧な目標なんだろう。そんなんで組織は進んでいけるのかな?」と思っていました。ただし最近これは面で持っている目標なのだと気づきました。(あくまで僕が思っているだけです。社長の藤田さんがどう考えているかは分かりません。)

事実CAはそのメイン領域を広告代理店→メディア→テクノロジーと刻々と変化させています。その都度大量に採用もしているようなので、どちらかと言えば人というよりは外的要因(時流、社会情勢)に合わせて変化させているのだと思いますが、それができるのも最終目標としているのが「21世紀を代表する会社」という抽象的な自由度が高い目標となっているからです。

人も、時流も何がどう変化するか分からない。そういう前提で組織が掲げる最終的な目標は出来る限り自由度高く設定しておく。そして短期的な目標はその時点で所属する人を中心として、皆が自分を活かしてイキイキと働くことができるものにする。というのが今のところ僕が良しと考える人と組織の在り方です。

と言いつつ、今んとこ組織を作る気は全くありませんが。

では。


【2021/03/02 追記】
なかなか良い三部作であった。旅行中によくこんなの書く余裕があったなーと思いつつ、一旦いままでの日常を離れたからこそ、それまでの組織人生活を俯瞰して見つめ直せたのかなとも思う。

今の僕はと言えば、あいわらず組織をつくる気はなく、あてどなく自分の自由度最優先。ねんど細工型人生。