2011/12/06

信頼のメカニズム その2~広め方

前回のエントリーでは信頼の深め方を書きましたので今回はそれを受け信頼の広め方について書きたいと思います。

信頼の広まりを論ずるにあたり一番重要なポイントは、一定の閾値を超えて深まった信頼関係は友人関係の間(ソーシャルグラフ)を流通しだす、ということだと思います。

要はかなり仲良くなった友達は他の友達にも紹介したくなる、ということです(逆に独占したいと思うこともあるだろうけど)。もちろんこれはソーシャルネットワーク出現以前から自然に行われていたことですが、その流通速度には雲泥の差が生まれています。

ソーシャル前の時代は、言って見れば友人間の物理的な口コミでしか信頼関係は流通しませんでした(マスメディアに露出している著名人は別として)。それがソーシャルネットワークという流通基盤がインターネット上に出来上がったことで、信頼が時間や空間の制約を越えて流通できるようになりました。ソーシャルインパクトとかソーシャル革命と呼ばれている事象の本質はきっとここだと思います。

ただし流通基盤ができたからといってどんな信頼関係でも直ちに流通する訳ではありません。流通するのは「一定以上の深みを持った信頼関係」のみです。あまりよく知らない人は、おいそれと大事な友人に紹介できない、そういうことです。以前のエントリーで深さと広さでは深さの方が大事と書きましたが、それはこういうことです。信頼が一定の深さまで達すれば自然と広まっていきますし、深み無くして広めようと思っても絶対に広まりません。

ので、前回のエントリーの内容も含めて信頼の総量を増やす方法をざっくりまとめると、
①自己の透明性を高める。(信頼関係を作るきっかけを多く持てるようにする)
②交流のある友人に対して積極的に提供・提案を行い、共同作業を通じて信頼関係を深める。
③深まった信頼関係をソーシャルネットワーク上で流通させ、次の提供機会を増やす。

となります。前回も書きましたが上記サイクルを回していくにはリソース(時間など)が必要になります。ので行き着くところは深さと広さと費やすリソースのバランスをどうとっていくか、というところになると思います。

僕の考える信頼のメカニズムはこんなとこです。これで自然、自由、信頼と僕が重視する三つの概念を一通り説明し終わったのですが、次回のエントリーでは三つの概念の関連性について触れ、三つの概念の紹介を締めくくろうと思います。


【2020/12/15 追記】
読んでて思い出したのだけれど、これを書いたのはFacebookやTwitterに代表されるSNSがそれなりに広まり出した頃。SNSの登場によって引き起こされる社会的な力学の変化に僕なりに対応しようと、色々考えていたのね。

ここで書かれている信頼のメカニズムに今の僕がさほど関心を示さなくなったのは、SNSがあって当然の世の中になりメカニズムとやらを意識するまでもなくなったからというのもありそう。自己透明性を高めようなどと思うまでもなく、自然にnote書いてますし。

こんな振り返りができるのも当時きちんと文章を残していたからなので、そこは昔の自分グッジョブ。