2021/04/03

偶然のトラブルを必然に引き起こす人

本来ならまれにしか起きないトラブルを、魔法のように引き起こす人がいる。

本人は「運が悪い」とか「もってるわー」などと言っているがおそらくそうではない。彼は必然的にトラブルを起こしている。

彼が見落としているのは、ごくわずかの確率だ。

例えば0.5%の確率。これは単体では0.5%以外のなにものでもなく、200回に1回という低い確率だ。

ただ、ここに試行回数が関わってくると話は変わる。

単体で0.5%の確率であっても、それを180回繰り返すと少なくとも1回発生する確率は約60%になる(1-0.995^180=0.594)。365回繰り返すと約84%(1-0.995^365=0.840)。

つまり1日1回0.5%の確率で発生するトラブルの種を放置していると、84%の確率で年に1回はそのトラブルは発生するのだ。

そして件の彼が放置している同様のトラブルの種は1つや2つではない。20も30も似たようなトラブルの種を放置している。結果として単体ではめったに発生しないトラブルが日常的に発生し、日々その後始末に貴重な時間やお金を費やしている。

繰り返すが、これは「運が悪い」とか「もってるわー」などという話ではない。必然である。

彼が怠っているのは、0.5%という低い確率に気づき摘み取ること。パッと見はたかだか0.5%なので、摘み取るには値しない、あるいは摘み取ることに費やす時間の方が無駄だと思っているのであろう。

だがその結果として、彼は毎年数十時間、数十万円をトラブル処理に浪費している。いや時間やお金で取り返しがつくならまだ良い。このままだと今後取り返しのつかないトラブルさえも起こしかねない。

そんな彼がトラブルまみれの人生から脱却する唯一の方法が、0.5%の確率に気づき地道に摘み取っておくことである。