渋谷で働いていた頃、会社の近くにセブン-イレブンがありました。お昼のお弁当なんかをよくそこで買っていました。
今回はそのセブン-イレブンにいたスーパー店員ナカムラさんのお話。
この人何がすごいってレジでの動きに全く無駄がないんです。
バーコードのスキャンも、レジを打つのも、お釣りを渡すのも、商品を袋に詰めるのも全てが完璧。一分の無駄もなく流れるように一連の動きをこなします。
そうなると試されるのは客たるこちら側の力量。何せナカムラさんは完璧ですから、途中で何か時間をロスすることがあるとすればそれは全てこちら側の責。無様に時間をロスして中村さんに内心「チッ」思われるのは僕のプライドが許しません。
こうして客としてレジの時間を極限まで短縮するためのあらゆる工夫が始まりました。
まず商品をレジに置く時。スキャンしやすいようバーコードを上に向けて置くのはもちろん、ナカムラさんがスキャンしやすい角度で置くよう心がけました。商品が複数ある場合は順番に手に取りやすい位置に並べます。
続く支払いも重要なポイント。現金で払う場合はレジ合計金額が出る前に必要最小額をトレーに置いて時間短縮。nanacoが登場すると早速導入。小銭のやりとりが無い分時間短縮にはなるのですが、nanacoをリーダーにかざすタイミングには気を使いました。あまり早くからリーダーにかざしてしまうと、それはナカムラさんを急かす行為となってしまうので紳士的じゃない。かといって遅すぎても時間のロスになる。早すぎず、遅すぎずのタイミングをつかむのに苦労しました。
僕がレシート不要なことはナカムラさんは当然知っているので、レシートの受け渡しは両者無言でスキップ。
最後はナカムラさんが商品を袋に入れている間に、僕は手だけをレジに残す形で早々に体を出口の方向へ向け、袋を受け取るやいなや颯爽と立ち去って一連の流れは完成です。一通り完璧にキマると所要時間は普通の店員&客ペアの半分くらい。ノーミスで完成させた時の達成感といったらそれはもう筆舌に尽くしがたいものがありました。
・・・とまあ、そんなことを昼休みのささやかな楽しみにしていたのですが、いつしかナカムラさんはお店からいなくなり、二人で培ったコンビプレイを披露することもなくなりました。
今はどこで何をしているのか知る由もありませんが、今も何らかの分野でその聡明な頭脳のもと磨き上げられた華麗な技で周囲を魅了し続けていることは信じて疑いません。
セブン-イレブンのナカムラさんに幸あれ。
【2021/05/11 追記】
普通にキモい客。