2012/05/13

「叱る」という価値観の押し付けの前にやるべきこと。

今回は叱るについて考えてみます。

まず、叱るとは何か。

一言でいうと叱るとは価値観の押し付けです。

もう少し細かく言うと、
・ある価値観の中において、
・立場が上の者が下の者に対して、
・その価値観の中で良いとされている行為を押し付ける
のが叱るです。

例えば
・とある家庭内で
・親が子に対して
・寝る前に歯磨きをすることを押し付ける

・ある会社内で
・上司が部下に対して
・締め切りを守ることを押し付ける

というのが叱るという行為です。
多くの場合はそこに愛情が伴っていて、良かれと思って叱るという行為に至ります。

しかしながら、この叱るという行為が期待通りの効果を生まないことも往々にしてあります。

なぜか。

それは価値観は押し付けるものではなく見せ付けて共感を呼ぶものだからです。共感を呼ぶ前提無しに価値観を押し付けたところで(=叱ったところで)、効果は望めません。

では、共感を呼ぶ前提とは何か。それは
①叱る側自身が、その価値観に深く共感している。
②普段からその価値観に基づく行動を見せ付けている。
です。こういった前提があって、初めて叱るが効果を発揮する可能性が生まれます。前提がなければ、無視か軽視されるだけです。

もし叱る側が「叱ってもなかなか直らない」と嘆いているのであれば、まずは自分が①②を十分に実践できているかを見直すと良いのではないかと思います。叱る立場(=価値観を掲げる立場)にいるということは、これらを実践する義務を負っているということですから。十分にできていれば、そもそも叱る行為に及ぶケースは少なくなるはずです。

もし、前提十分、愛情たっぷりで叱っても価値観が変わらなければ、両者は共感の生まれる余地のない全く別の価値観の中で生きていることになります。双方が双方の価値観を持っているのですから、価値観の尊重という点では、その状況もやむなしでしょう。

まぁ、やむなしと割り切れないケースも多々あるので、難しいところだとは思いますが。。

最後は掲げている価値観が真に多くの共感を呼ぶものであるかどうかに行き着く気がします。その軸がしっかりしていれば価値観の押し付けが発生するケースも少なくなるのではないでしょうか。

では。


【2021/01/13 追記】
当時はマネジメント職に就いていたので、部下の管理にも苦心していました。

マネージャーが部下を惹きつけられるかは、ここにも書いた通り共感を呼ぶ価値観を提示できるかにかかっているのですが、社内でそれを実現するには、そもそも会社が良しとする価値観とマネージャー自身の価値観がある程度一致している必要があります。

それが一致していた頃は、マネージャーとしてそれなりのパフォーマンスを発揮できていたのですが、会社の成長に伴う価値観の変化とぼく自身の価値観の変化にともない両者は徐々に乖離。マネージャーを務めるのがあからさまにキツくなり、退職することにしました。

会社の価値観に自分の価値観を合わせる器用さがあれば、もっとうまくできたんでしょうけど、そんな不自然さに耐えられるぼくではないのです。